活動

||| 2017年度の活動

2017年4月から始まった、「アジアにおける小規模農業の種子調達メカニズムの持続性評価」では、

2017年度に、以下の活動を行いました。

 

メンバー顔合わせと分担の確認、スケジュール相談を6月24日に名古屋市都市センターで実施。

 

研究の背景となる持続可能な生計アプローチについて、最新の研究まとめであるIan Scoonesの著作Sustainable Livelihoods and Rural Developmentの翻訳作業を開始。

 

本研究の主たる調査対象地域ではないが、比較参照地域としての日本において、農家の種子調達の持続性担保に直接・間接に影響が懸念される主要農作物種子法の廃止という事態が本研究申請後に起こったため、急遽福岡県・宮城県を中心に稲の種子供給の実態に対する調査を行い、本研究の背景としている持続可能な生計アプローチの観点、農業食糧のための植物遺伝資源国際条約を中心とした国際的枠組みの中で評価を行った。

 

海外調査は、2018年3月にネパールにおいてカウンターパート機関及び研究者との協議、調査候補地の視察、調査協力者との面談を行った(根本・西川)。ミャンマーにおいては、ハイビスカス属の野菜の多様性と種子の関係、サイクロンナルギス後のエヤワディデルタ地域の稲作用種子復活におけるジーンバンクの役割について予備的調査を実施。(河瀨・長嶋(協力者))

 

比較調査地域としてのアフリカにおいては、2017年10月29日から11月3日にかけて開催された国際植物遺伝資源条約第7回締約国会議に出席し、サイドイベント・Community Seed Bankの中で日本の事例をヨーロッパやアフリカの事例との比較の視点から報告。

 

さらに、総合地球環境研究所との連携で、ベトナムにおいて栄養と農業生物多様性の関係を研究するプロジェクトの中で、種子調達調査部分を本科研と協力して実施する可能性について検討。

 

 

 

 

 

 

 

農業食糧のための植物遺伝資源国際条約サイドイベントにおける日本のcommunity seed banks事例の報告

 

 

サイドイベント報告書

Community Seed Banks:Sharing Experiences from North and South Regine Andersen, Pitambar Shrestha, Gloria Otieno, Yoshiaki Nishikawa, Patrick Kasasa and Andrew Mushita

詳しくはこちらから

 

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ミャンマー調査結果熱帯農業学会ポスター発表(長嶋麻美ほか)

ミャンマーの山岳地帯・高原地帯・平原地帯におけるHibiscus属植物“CHINBAO”の栽培と利用

*長嶋麻美1 ・和久井健司1 ・菊野日出彦1 ・吉田沙樹1 ・入江憲治1 ・西川芳昭2 ・Ohm Mar Saw3

(1東京農業大学・2龍谷大学・ミャンマー農業灌漑省農業研究局)

内容はこちらから

 

 

 

 

 

LIBIRDスタッフと打合せ

 

 

 

Love Green Nepal 研修施設訪問


||| 2018年度の活動計画

  

調査対象の明確化

現地におけるミクロレベルの調査は、地域において農業の生物多様性の管理に中心的役割を担っている農家・農民とフォーマルな組織である行政や企業・研究機関の品種管理への関与の実態について実施する。同時に、グローバル・ナショナル・リージョナルな組織制度の関与についても調査する。

 

現地本格調査

現地協力者と協議して決定した都市近郊地域及び辺境条件不利地域において、小規模農家による穀類・蔬菜類等を中心に多様な作物品種の種子調達の方法を抽出する。住民が利用する野生植物を含む農業生物多様性利用の管理・開発運動や事業の事例について、特に既存先行研究の枠組みを修正・拡大の可能性の視点から評価を行う。

 

調査実施及び情報の分析

小規模農家が種子を調達している内容(品種)、タイミング、調達先、場所、購入・交換等の方法などの情報を収集する。調査対象農家が利用している言説および組織形成の経緯について、持続可能な生計アプローチ(またはその修正形)を用いて評価する。同時にキーパーソンや社会関係を抽出する内発的発展論の視点を取り入れた聞き取り調査を行う。外部から入った品種等がある場合、技術・言説の受容と具体的な種子調達方法の変容を観察及び聞き取りによって調査する。

 

比較調査

アジアの条件不利地に存在するメカニズムと利用されている言説がある程度整理された時点で、西欧研究者により形式知化されている東南部アフリカ(種子法の整備状況の異なるウガンダ等を検討)の比較調査、山岳(少数)民族(ベトナム・インド等を検討)の追加情報収集を行う。